九大家庭教師の会——九州大学(理系前期)生物解答速報

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updated 2017-03-10
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九州大学 理系前期 生物 解答速報

この解答速報は、九大家庭教師の会・九大研の現役九大生が作成したものです。
名だたる予備校の先生方のような立派な解答は作れないかもしれませんが、その分、逆に「受験生でも書けそうな」「受験生にも馴染む」解答を目指して作っていこうと考えています。

解答速報について、「この答でもいい?」とか「この答間違ってない?」といった質問がありましたら、どんどんLinkIcon質問ルームにお寄せください。作成した九大生がお答えいたします。

注意 この解答速報は、九大家庭教師の会・九大研理科が独自に作成したもので、九州大学とは関係ないものです。大学へのお問い合わせはおやめください。
また、解答の正確さについて保証するものではありません。自己採点等なさる場合は、自己責任のもとご利用下さい。
なお、この解答速報に関するメール・電話等でのお問い合わせ等は、原則として受け付けておりません。メール・電話等でのお問い合わせはご遠慮ください。

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分析

全体概観

難易度(平年比):難

問題の難しさ自体は「やや難〜難」なのだが、今から述べる諸事情により、「ごく難」などと書いた方がいいのではないかというくらい難化した。

まず、語句を問う問題などの知識問題でさえ難しいものが多く含まれ、また、設問別解説で個別に指摘するが、「何を問われているのかわかりにくい」問題があるなど、厳しい。

さらに、記述量が極めて多く(記述量が豊富なことで知られる京都大の試験よりも多いくらい)、時間が足りない。特に、理由やメカニズムを説明させる問題の数が非常に多い。
生物を選択した多くの受験生は「化学・生物」の選択であると思われるので、解答・分析を執筆している筆者も「化学・生物」の組み合わせで解いてみたが、制限時間内(150分)には解き終わらなかった。(比較対象として、筆者は、例年の問題なら化学・生物合わせて120〜130分で解ききり、9割程度〜悪くて8割強は正解できる。なのにこれである。)
記述量が多いだけでなく、記述式でない問題の比率が低いのもあって、一般的な九大受験生にとっては制限時間内では解ききるどころか点数6割確保も厳しかったのではないだろうか。他科目選択者(ほとんどは「物理・化学」であろう)と比べて、生物選択者にとって著しく厳しいものであっただろう(九大は選択科目間での得点調整をするとは公表していない)。

理由やメカニズムを説明できることは理系学生にとって必須というべき事項だから、それを記述問題として出題すること自体は、九大の見識の高さを示すものである。だが、他科目とのバランスを考えれば、受験生が(せめて生物の能力で上位一割程度の受験生なら)制限時間内に解ききれる程度の問題量を出すべきではないか。

また、もうここまで来るとどうでもよくなってくるが、多くの現役生にとっては鬼門の進化・生態系分野が両方、それも大問2つも出題されたのも難物であった。

いずれにしても、きちんと勉強し準備してきた受験生であってもなかなか得点できない問題であったことは非常に残念である。九大の入試は、「珍問・奇問が少なく、難易度も高すぎず、現役生でもきちんと勉強し準備することができれば充分解ける」という点において極めて信頼感のあるものであって、胸をはって受験を薦められるものであったので、そのぶん筆者としては残念だという気持ちが大きい。
来年度はきちんと勉強し準備してきた受験生がきちんと得点できる、「これまでの九大入試」に戻ってくれることを望みたい。

新高3へのアドバイスとしては、九大入試生物は年ごとの難易度のばらつきが激しく、来年は何が起こるかわからないので(それでもこれ以上の難化はないだろう、さすがに。易化する可能性が高い)、粛々とやるべきことをやるのが一番だということになる。
やるべきこととしては、基本的知識(語句だけでなく「メカニズム」を中心に、人に説明できるように!)はきちんと押さえるとして、実験問題と記述・論述問題への対策は欠かせない。実験問題が苦手ならそれ用の参考書を用いて対策し、過去問・模試問題などを活用しながら記述・論述問題をスラスラと書けるようになる訓練をしておきたい。
もし、今年の問題を見てどうしても不安になったならば、九大が好きな筆者としては誠に残念なことではあるが、他の旧帝大への志望変更も検討する方がいいかもしれない……。

〔1〕免疫、モノクロナール抗体

難易度(平年比):平年並み〜やや難

免疫機構を中心として基本的な知識を問う問題に、モノクロナール抗体の作製法について考察させる問題が加えられた設問であった。問1〜問4は基本的な設問である。問5のモノクロナール抗体の作製法を問う問題は、問題自体に「方法を考え、180字以内で述べなさい」とあるように、知っているか知らないかを問う問題ではなく、基本的な知識と与えられたヒントからの考察を問う問題であった。ヒントにもとづいて考察ができていて、論理的整合性があれば、実際のモノクロナール抗体の作製法と異なっていても得点はあるだろう。

〔2〕化学進化、原核生物の進化

難易度(平年比):平年並み〜やや難

化学進化やごく初期に誕生した原核生物の進化について問う問題であった。問1、問2は、進化とは違う分野(同化・異化)をからめた問題であり、気づけば難しくはない。問3、問4は知らない現役生が多かったのではないだろうか。個人的には面白いところなので知っておいてほしい部分なのだが、現役生には厳しいか。問5は、「オゾン層の形成」についてだけを書くと解答欄が半分以上余る。もうひとつ書くべきことに気づけるかどうかがミソ。問6は「事例」だけはわかるが文が書けない受験生が多かったのではないかと推測する。この問題は難しいので、これをできなければならないとは言わないが、「なぜ、そうなのか」をきちんと関連づけて覚えるのは理系を目指す者のたしなみである。問7だけは容易な問題なので、「できないと放り出さずに最後まで目を通したか」が問われる。

〔3〕生態系、生命表、進化

難易度(平年比):やや難〜難

問1は基本的な知識問題。問2は、見慣れぬ形ではあるが生命表の問題。ここまでは標準レベル。問3がかなりの難物。傍線部中の読点で区切られた一節一節が各々〔オ〕隔離、〔カ〕選択、種間〔キ〕と対応していることがわかればまだ楽になるが……。特に種間〔キ〕は語句も記述も何を書いたらいいのかわからなくなった受験生が多かったのではないか。問4も初見の受験生ばかりだっただろう。「こうだったら自然選択」という背理法でいけば、まだなんとかなったかもしれない。

〔4〕フィトクロムの関与する現象

難易度(平年比):平年並み〜やや難

問2が若干難しい知識問題だったが、問3〜問5は実験考察問題の基本形である。記述量が多くて大変なのは事実だが、実験考察問題の基本を外れた問題ではないし、この程度の記述量がないと説明できない。
なお、問1が答えられなくても、問2がわからなくても、説明をきちんと読んで考察すれば問3〜問5はできるようになっていたので、やはり「できないと放り出さずに最後まで目を通したか」が問われる。

〔5〕DNAの電気泳動、遺伝

難易度(平年比):難

問1、問2はただの知識問題だが、問2で何を書いたらいいのかわからなくなった受験生、多かったのではないだろうか。さらに、問3以降はなんのことやらさっぱり、になった受験生が一定数いるだろう。そんな場合はさっさと捨てた方がいい。
問3以降の実験問題だが、実験手法の説明および「体細胞と精子からサンプルをとっている」点や図2から「ヘテロ接合になっている遺伝子では、各々の精子にI、IIどっちの染色体が入っているかバンドでわかる」ことに気がつくことができれば、なんとかなったのではないだろうか。
問5はこの問題のストロング・ポイントであるが、思考法はこう。「連鎖していれば、各々の精子に入っている染色体は同じなのだから、それぞれで検出されたバンドの図は同じor鏡写しになるはず→そんな組み合わせないぞ、どうしよう→先に進もうかと思って問6に目をやると、『組換え価』と書いてある→あ、そうか組み替えがあるから、基本的には同じor鏡写しだけど、一部違うんだ→一番『似てる』組み合わせはどれだろう」。このときに「いくつ同じで、いくつ違うか」を数えておくと、問6の答も自ずと出る。
問7は遺伝の問題だが、3遺伝子雑種(しかも2つが連鎖、1つが独立)であるので、碁盤法で書くと大変なことになる。実は問題がヒントで、「連鎖している遺伝子が同じになる確率」×「独立しているもうひとつの遺伝子が同じになる確率」という計算で出せばいい。組換えを含む連鎖は碁盤法で書くしかないが、独立しているものの確率は掛け算できるのだ。

〔6〕酵素反応、競争阻害

難易度(平年比):平年並み

問1に何を書いたらいいのかがわかりにくい問題があった。問3も悩ましい問題。
一方、問2、4、5の記述は極めてシンプルな問題で、量が多く書くのが少々大変なくらい。問7もグラフを書くか、各時刻でのADHによる生成量を計算してみれば、時刻2秒以降で一次関数になっていることがわかるので、容易。
問6は「わかるけど、書きにくい」問題。競争阻害のメカニズムをきちんと説明できるか、という設問であった(筆者の実感としては、大学の教養レベルだよな……とは思う)。


難易度表記の「平年」は、ここ五年の九州大学入試の同科目の平均的難易度をさすものです。